FAQ

Q.立体絵画とは何ですか?
A.山川善作氏の「平面アートと立体アートの違い」の簡単な考察の一部を以下に掲載して、立体絵画の説明とさせていただきます。

①平面アートと立体アートの素材の違いは何ですか?
立体アートの素材はさまざまで、木材や石膏、粘土や金属、セラミックなど多岐です。このような色々な素材を使い形を制作する芸術品で、素材には触感やぬくもりが感じられます。

②平面アートと立体アートの制作の違いは何ですか?
平面アートは、対象を正面から見て制作します。立体アートは一方向からだけでなく色々な角度から見る必要があります。立体アートは三次元的な視点で制作され、立体的に空間の雰囲気を捉えることが重要です。また平面絵画は美を表現するのに、詳細な描写力と細やかな絵付けの技術が必要です。一方立体絵画は、形を整形すれば絵付けは立体の形の線に沿って描写するので容易です。絵付けは仮に単色で塗っても立体なので実物に近い色彩の変化や奥行きが表現されます。しかし立体アートは立体であるがゆえに細かい整形は困難で、大雑把な描写でしか表現できません。平面絵画のように筆一筋のような詳細な美しい描写は困難です。ただ、厚みや遠近、奥行きによる色彩で実物感が出ます。繊細な色彩の技術を要求しません。
そして平面絵画は描く動作ですが、立体絵画は組み立て整形するという作業が8割以上です。制作者の意識の対象が、表面か、形なのかという違いがあります。絵を描く時と立体を作っている時で脳の働き部分も違います。立体アートは造形を整える制作なので「ものづくり」の楽しさがあります。

③平面アートと立体アートの存在感の違いは何ですか?
彫刻や立体アートが平面アートと異なる大きな魅力は存在感にあります。例えば、平面アートの仏画より立体アートの仏像の方に人は祈願します。平面映像よりも3D視覚映像が存在感があります。立体アートは、立体的な存在なので見るだけでなくその存在感の雰囲気を感じる楽しみがあります。そのため立体アートでは、存在感の雰囲気を感じてもらうように感覚的な迫力をつけることが重要です。

④平面アートと立体アートの鑑賞の違いは何ですか?
平面アートは詳細に描写でき、その繊細な色彩の美しさに受動的な鑑賞の楽しみを与えてくれます。一方立体アートは、作品そのものが空間に存在し厚みと奥行きの存在感、素材のぬくもりと実物感があります。作品を見るだけでなく存在感を感じ空間ごと味わう、実物感の魅力を感じて能動的に楽しむといった鑑賞ができます。
現代アートでは、写真が真似できない造形の様相を表現する抽象画が多いです。これを立体絵画で表現すれば、より迫力と存在感が出て楽しめると思います。

西洋の立体アートはどんな物がありますか?
①シャドーアート:平面アートは、光がどの方向から対象物を照らしているか把握し、反対側に影を付ける光と影の描写で実物像に近づけます。立体アートでは、紙の切り抜きを板などに貼り付けて装飾するデコパージュという技法が17世紀にフランスで生まれました。19世紀にはアメリカで、平面の絵柄を何枚も重ね合わせるシャドーアートとなりました。その立体の奥行きから発生する光と影の様相を楽しめます。プリントされた絵柄を使うので平面絵画のような描画や影の描写の技術がなくても制作できます。
② シャドーボックス:箱形の額縁の中の作品に生まれる影(シャドー)は見る角度によって色々な様相が出て楽しめます。
③舞台アート:創作テーマに合った背景を画板のキャンパスに描き、下の額縁を舞台にしたアートです。背景と離して人物や題材の対象物を舞台に置き、現実的な雰囲気で奥行きのある立体アートです。
④ポップアート:1950年から1960年代にかけてアメリカやイギリスで誕生しました。自由資本主義の生活の近代化と大量生産などにより、アートを消費文化や新しい日常生活に取り入れる活動が起こりました。商品広告や 映像、衣装、書籍など生活環境に溶け込んだポップアートが生まれました。
その後1970年から1980年代にかけて、ポップアートに加えて、立体の素材や立体化した手法の3Dポップアートが生まれます。3Dの映像や広告、ファッションが進展する中で、新しい視覚感覚の提供が要求される必然的なアートの誕生でした。このようなポップアートを含めた現代アートは、1917年マルセルデュシャンが泉を実物の小便器を使った立体アートが始まりと言われてます。
⑤デコパージュ技法:デコパージュはフランス語で切り抜くという意味です。紙や布を切り抜いて接着剤で張り付けて、部材を重ねて立体感をもたせたアートです。特にジェームズ・リジィはこの手法で建物の絵やキャラクターなどを切り抜いて絵本のような楽しい都市風景や野外アートショーを立体的に表現しました。
有難うございました。